2020年9月25日金曜日

APT 南仏陶器 アプト窯最期の いちご皿

南仏陶器というと、温かみのある黄釉のイメージです。

今回ご紹介するのは、今までも何度かご覧頂いてきましたが、もう一度ご存じない方に。

白い食器がアプトにも存在したのです。



20世紀の初めにはすべての窯が閉鎖してしまうアプト窯ですが、こちらの白に彩色が施されたお皿は19世紀終わりから20世紀初期、最後のアプト窯のお品のうちの一つになります。

大変貴重なお品です。



左が#1・右が#2



#1

若干発色はこちらのほうが綺麗ですが、ヒビあります。



パニエレリーフの上に飾られた植物はいちごの苗。

葉っぱとお花が見えますが、まだ実はなってないようです。




中央の白いお花も可愛い♪




ヒビが2箇所見られます。

両方とも貫通しています。

金継ぎやお直ししてくださるか、このままインテリアの飾りとして楽しんでくださる方へ。




裏側。

シミも見られます。




別の箇所のヒビ。

ヒビもそうですが、可愛いお花のお色なども御覧ください。




裏側。




少しスレなど見られます。




裏の全体像。

2箇所のヒビは表からわかりにくいですが、裏からだと分かりますね。



シリル・ジュリアンの窯のマーク。

アプトの町の紋章が使われています。



#2

こちらはお色が控えめ。




それからシミが広範囲に見られます。




表からは比較的目立ちませんが、裏をご覧いただくと分かると思います。




レリーフの詳細。




この感じ、お分かりになりますでしょうか。

南仏ではアプトやムスティエを初め南仏陶器が主流でしたが、19世紀終わりの交通の発達(特に電車)と工業化が進んだことにより、南仏でも容易に北の陶器が手に入るようになります。

それまでの黄釉やぽってりした白釉に飽きた南仏の人々は、北の洗練された白い食器を使うようになります。

アプト窯でも、クレイユエモントローやサルグミンヌなどが生産している洗練された白い食器を生産したい。

と、

試みたのがシリル・ジュリアンの窯でした。

19世紀後半のクレイユエモントローに見られるほんのり青っぽい釉薬、それが上と下の写真でご覧いただけると思います。

真似っこしてみたけれど、洗練された白い食器づくりはできず、ファミリーや陶芸家として小さな窯しか構えていなかったアプトの窯たちは次々と閉鎖に追い込まれました。

その後の第一次世界大戦で完全にアプト窯はなくなってしまいます。




黄釉のほんわか温かい陶器がアプトのイメージなのに、白いアプト、悲しい気持ちになります。

試行錯誤で、どうにか作ってみた白い食器。

でも、今見るととっても素敵。

フランスのオークションサイト(日本で言うヤフーみたいな)を見ていると、ボルドー窯と言ってみたりはたまた酷い方はぽんとシュートまで。

よく言えますよね。

日本の業者様は騙されませんように🙏

ここに記しておきます。



シミができやすいところや、ツヤの感じからおそらく鉛が入っていないかとっても少ない含有量なんだと思います。



裏にはシミ。




 グリーンのパニエ陶器はユゼスのピション窯。

これまでに何度かご紹介はしてきましたが、アプトの白いお皿は大変貴重です🙏🙏🙏


真似してみた気持ちは分からないでもないですが、やはり南仏らしい陶器でいてくれるのが一番。

現在アプトには現代窯がいくつもあり、伝統的なアプトの陶器を作っていらっしゃる作家さんも数人いらっしゃいます。

その作品もアンティークと混同してしまうフランス人業者さんいますので、こちらもご注意を♪



以上のお品ものたちはグルニエイデコのオンラインショップでまもなくお目にかかれます(ヒビあり)


☆☆☆


どうぞお楽しみに❣

グルニエイデコのオンラインショップ

ギャルリーイデコ・南仏陶器


オーナー☆イデコ