2019年9月23日月曜日

19世紀末 APT アプト窯のバルボティーヌ パニエレリーフ皿

ムスティエと共に、18世紀から存在した古い窯、南仏のアプト窯のお品になります。

今回のお皿、白いものは以前にも何度かご紹介しています。





でも、彩色が施されたものは今回初めてです。
これも彩色が施されていないものはご紹介していたと思います。



 #1

パニエレリーフの中央に可愛いお花がありますね。

このシリーズは苺用のお皿だったのか、苺のお花や葉っぱがレリーフになったものもありました。
色の付いていないのがそうですね。

パニエも苺を入れるための籠のイメージだったのでしょうか。


 #1

アプトの陶器と言えば、南仏の黄色い顔料を使った黄釉の陶器が有名ですが、このバルボティーヌ皿たちは19世紀終わり~20世紀初期。

その頃のフランスは鉄道も発達し、南仏の野暮ったい(素敵なんですけどね)作りの陶器よりも、サルグミンヌやクレイユエモントローなどの洗練された食器が手に入るようになり、アプトの窯は廃れていきます。

アプトにいくつかあった窯も消えていく中、一つの窯が北の窯のようにバルボティーヌ(もしくは綺麗なレリーフ)の食器を作ってみたいと試みたのがこのアプトのバルボティーヌになります。

北のように白い土を使って、美しいレリーフと、綺麗な色の彩色を、と試しに試しやっていたようですが、南にはそんな洗練された技術はなかったようです。

経済的にも難しかったようですので、サルグミンヌやクレイユエモントローのように大量生産もできないし、その前に同じような陶器を生産する事ができませんでした。


 #1

白い陶器の上には透明な釉薬と、彩色は釉薬の下なのか上なのか分かりにくいのですが、彩色された部分がマットで輝きはありません。


 #1

彩色も不器用なところが見られます。
今までの黄釉の食器や多色の混ざった食器とは違い繊細な手が必要だったにもかかわらず。。。
ムスティエのような絵付師がいなかったのでしょうか。

またプリントする技術も経費もなかったことでしょう。

他の窯のように再建して成功したかった、アプト窯の最後の方のお品ものなんです。


 #1

この人間らしい雰囲気、分かりますでしょうか。



 #1

特に紫の色の出し方は、また釉薬の乗り方が難しかったのか、色が均等ではありません。





裏にはアプトの町の紋章が基になった刻印。

それまでのアプト窯の陶器には見られない、スタンプタイプの刻印です。




#1


☆☆☆




 #2

#1も#2もほぼ同じような感じなのですが、この手作り感がそれぞれの雰囲気をだしている気がして、オンラインショップでは在庫が2枚ではなくそれぞれのページを作っています。



 #2



#2

これを見るとブルーは釉薬の下だが、紫色は釉薬の上のように見えます。

釉薬が乗らなかったからなのか、思った通りの色にならなくて上から紫で彩色したのか、謎なところです。




#2



 #2

紋章の下にはAPTの文字がかすかに読み取れます。




#2



 #2

いろいろ言いましたが、それでも可愛いと思いません???


大変貴重なお品です。




そして白い方は、実は割れてしまって、接着剤で付けてあります。

もともと大きなヒビが入っていたのですが、洗っては干して洗っては干してしていたら、とうとう割れてしまいました。(;´∀`)

幸いレリーフが全体に入っているので表からは一瞬分かりにくいですが、裏は一目瞭然。

ごめんなさい🙇




ホームセンターで売っている陶器用の瞬間接着剤で付けてあります。

陶器用の瞬間接着剤の中には人体に悪影響のあるエポキシ樹脂なるものが入っていますので食用には使えません。

剥がし液できれいにしてから金継するなどしたら使えるかもしれませんが、今回はもうコレクション用として引き取ってくださる方へ。





シミもございます。

先ほどの2枚にもシミが見られます。



でも、なんて素敵なんでしょうか。

頑張ったアプト窯のバルボティーヌ。

貴重なお品です!




☆☆☆




オーナー☆イデコ

2019年9月18日水曜日

Pont aux Choux ポントシュー, Rambervillers ランベルヴィレー, Boch ボッホ などのファイアンスフィーヌ

9月下旬更新分のお品もののご紹介です♪


18世紀のファイアンスフィーヌ、アイボリー色のレリーフカップ&ソーサーやティーポット、大型プレートをご用意しております。





すべて実用不向きな商品です。

コレクション用、また、たま~にカップボードから出してこっそり楽しむ程度でお願いいたします。(笑)




左から#1,#2

ランベルヴィレー窯のカップ&ソーサーが2客。

別々に販売です。




#1

可愛いお花とシード(種)のようなドットが素敵なレリーフのカップ&ソーサーです。

いったいどんな方が使われていたのでしょうか。
こんな可愛いカップ。





 #1

レリーフの表面に擦れや釉薬の削げなどが見られます。




 #1

カップもソーサーにも貫通したヒビが見られます。





#1

カップ表面から見たヒビの様子。

それにしてもお花の花びらが繊細で、とっても可愛いレリーフです♪



 #1

ここまでが#1でした。


☆☆☆






 続きまして#2






 #2






 #2

やはりレリーフの表面に擦れや釉薬の削げ、そして脚にキズなどが見られます。






 #2

カップには貫通したヒビが1か所、ソーサーのフチにキズなど。





 #2

フランス革命前のお品ものになるのではないかと想像いたしますが、ヒビが見られるもののここまで良い状態で残っていてくれたことに感謝です。

レリーフもくっきりで、本当に美しいカップ&ソーサーです。




☆☆☆





次はポントシュー窯の米粒レリーフカップ&ソーサー。


ご覧いただいている通り、カップのフチ奥側にアクシデント的なチップとそこから出ているヒビが見られます。
ソーサーのフチに一部削れたような跡が見られます。




上から見るとソーサーの削れ部分は上の方に。

カップのアクシデントも上の少し右側の方に見られます。






見ずらくて申し訳ないのですがカップのヒビがフチの右側の方に見えています。






コレクション、インテリアの飾りに、とっても絵になる素敵なファイアンスフィーヌです。






艶もよろしいです♪









ここでちょっとランベルヴィレー窯とポントシューのカップの違いなど。




素地のお色が多少違うのがご覧いただけると思いますが、ポントシューの方が少し白っぽい気がします。

いつも白っぽいかというと、そういう訳でもないようなので、はっきりそうだとは言いきれないのですが。







左ランベルヴィレー窯、右ポントシュー窯。






面白いのがソーサーで、ランベルヴィレー窯の方は、ソーサー裏にレリーフがあり、フチの高さがせり上がっています。
ポントシューの方は普通に表側にレリーフが付いています。

面白いですね♪

そしてポントシューのカップの持ち手はとってもポントシューらしく、カスタードカップ(デザート用カップ)の持ち手もこのフォルムです。



☆☆☆


18世紀ランベルヴィレー窯もしくはリュネビル窯のティーポット。

(実用には向きません)



ティーポット。

ティーポットなのかコーヒーなのか、ココアなのか、未だに区別が分からないオーナーなのです。

ティーポットらしい形ですので、やはり紅茶用だったのでしょうか。






ご覧の通り、蓋のつまみが取れてなくなっております。






レリーフやフチの表面にスレなど見られますが、かなり状態の良いお品です。

先ほどもいいましたが、蓋のつまみが取れていますので、陶器の修理が出来る方にお願いされると良いかと思います。






綺麗でしょ???
















取れたつまみの跡。







内側の釉薬にムラが見られます。

でも内側も大変綺麗。






注ぎ口には少しの釉薬の削げが見られますが、大きなカケやヒビがなく、良い状態です。










綺麗でしょう?????


あらためて。(笑)


お花のブーケと、シードレリーフ、下の方が波打ったような素敵なレリーフでアクセントが付いています。






あともう1点。




大型プレートもご用意しております♪





1800年頃の大型プレートでボッホのものだと聞いています。

繊細なお花が散りばめられたレリーフ。






可愛いですね♪














よく見るといろんなお花が入っています。






カトラリーのキズ。

お肉料理を切り分ける際に、もしくはケーキを切り分ける際についた跡ではないかと思います。


現代のフランスのナイフは切れにくいのですが、19世紀までのナイフはとってもよく切れるんです。
傷つけたくなくてもキズがついてしまったのでしょうね。






裏。

刻印はありません。






フチに擦れ。




ですが、大変状態のよろしいお品です。





大型のお皿は大変珍しいです。





このお皿は使っていただけそうです。








☆☆☆



美しいレリーフの18世紀のファイアンスフィーヌたち、いかがでしたでしょうか。



オーナー☆イデコ